日経ビジネス2020.04.06号P15の星野リゾート代表インタビューを読んで
商業店舗立地診断士の観点から、星野リゾートは同業他社とは出店戦略で差別化ができていると実感しました。
そのことについて、お話しさせて頂きます。
■顧客は誰だ?星野リゾートの出店戦略
星野リゾートは、グループ施設の主たる顧客を同業他社よりシャープに踏み込んで設定していることが良く理解できました。
記事に、このコロナの時期で一番の優先事項は、今も訪れてくれる宿泊客の満足度を落とさないことが大切だと語る。その上で、施設のタイプ別に手を打つと言っている。
この言葉は、重要。これは弊社が提唱する顧客4分類法と同じ考えである。
星野代表は、マーケットの在り方が大きく変わってきていることを確認すべきだと語り、日々のデータの中に新たな手法を知る手掛かりがあると言っている。
具体的には、施設の予約状況を確認するのは1カ月に1回だったが、最近は毎日数字を見て、顧客がどういう心理で動いているかという仮説を立てているそうだ。
そして自粛が長期になるとストレスが高まり、開放感を求める人は増え、密閉、密接、密集を回避する旅をつくることができれば、旅行業は大事な役割を果たせると仮説を立てる。
その仮説が当れば、これまでにない市場セグメントができる可能性もあり、4月上旬に市場調査をすると言っている。仮説を検証しながら、この時期に合った観光業の有り方を探るそうだ。
■商圏データを読み解く力、仮説が立てれる。
私は、この記事を読み、観光業を営む皆様がそうすべきだと偉そうなこを言うつもりはない。
それぞれの企業が置かれた環境は全て違い、優先順位が違う状況であることは十分理解している。
ただ、観光業の中でも成果を出す企業は、次の2つを実践していることを店舗出店をする方々に知って欲しいと願っている。
一つ目は、事業コンセプトをはっきりクリアにしている。自分たちが施設ごとに『誰に』『何を』を提供するかという顧客パターン分けをしていること。
二つ目は、絶えず現場とデータを同レベルで重要視し、顧客のニーズに対して仮説検証を繰り返していること。
これは、施設開設にあたり、新たに施設をつくる場合は自分たちの事業コンセプトの『誰に』と『何を』を先ず明確にし、それにあった『どこで』を選定し開設する。大阪市の新今宮駅前に出店する「OMO7」がまさにその事例である。
また、既存施設を切り替えるすでに場所ありきの場合は、施設の商圏と立地をデータと現地確認で分析し、自分たちが提供できる顧客パターンにあうかどうかで判断している。
これは、多くの星野リゾート再生案件がその事例である。当初はこのスタイルで成長してきた。
即ち施設の出店を判断する際に、商圏をデータと現地調査で会社で見える化し、仮説をたて自分たちの事業コンセプトがあうかどうかシャープに判断しているということである。
またその行為を実施すれば、事業が全て成功する訳ではない。
ただ、成果を出している企業は商圏分析データを眺めるだけでなく、データから仮説を立て現場で検証するスキルをもっていてそれを活用していることは事実である。
■市場の飽和はまだまだ無い。
きっと星野代表は、2020を契機に宿泊施設が急増していますが、供給過剰になりませんかと質問を受けた際に、供給過剰にはまだまだならないと答えると確信している。
その根拠は、星野リゾートをのぞく他宿泊施設は星野リゾートのレベルまで『誰に』『何を』『どこで』を明確に落とし込んでいないと分析しているからである。
特に『どこで』の自社選定基準をシャープに持たないままに出店をしていると睨んでいる。この差が埋まらない限り、星野リゾートには市場飽和という天井は来ないと思う。
売り手市場と買い手市場のバランスにおいて、小売業でも売り手市場≦買い手市場の場合は、商品を作れば売れた。すなわち作れば、泊まってもらえるである。
しかし、売り手市場≧買い手市場になると小売業では顧客ニーズにあった商品でないと売れない上に、顧客ニーズの変化スピードは早くなった。
これを当てはめると、施設を作っても顧客ニーズにあっていないと泊ってもらえないということである。
自社の出店選定基準が緩い企業は、出店場所が似たり寄ったりで集中し市場ボリュームを超える施設数になり、顧客の取り合いになる。顧客ニーズを価格で捉えるしかなくなるが、サービスを維持したままで価格を下げるができるだろうか。
■更なる成長をする為に
ホテル等の宿泊業を営む企業様には、星野リゾートのように自社事業コンセプトの『誰に』『何を』をしっかりクリアにし、『どこで』を選定するスタイルにしていただきたいと願っております。
また、既存施設様には施設の商圏・立地分析をすることをお勧めします。自施設の商圏・立地の現状分析することは自社の出店基準をシャープにする第一歩であり、新たな成長ステージに入れます。既存施設の活性化にも、まず己を知ることからスタートする。これが活性化最短の方法です。
更なる成長を目指したい企業様には、上記の様な正しい商圏・立地分析をされることをお勧めします。
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