日経ビジネス2020.04.13号P072の不屈の路程『宗次徳二壱番屋創業者』【「800勝2敗」を実現した仕組み】の記事を読んで、商業店舗立地診断士として感銘を受けました。
そのことについて、お話しさせていただきます。
■ココ壱番との出会い
最初に自分とココ壱番屋の出会いは、大学3年生(1980年)の時です。夏休みに地元(一宮市)に戻り、友人と二人で実家近くにできていたココ壱番屋の一宮森本店へ行った時です。この時はココ壱番屋がここまで大きく成長されるとは想像もしませんでした。
その時の思い出は味よりも、ご飯1kgにカレーかけ放題で食べきったら無料になるサービスです。友人が挑戦しあと二口ぐらいのところでダウンし残念がっていたことを鮮明に覚えています。お店は長屋店舗の真ん中にありましたが、現在は店舗は建て直し角のテナントになってます。
■ココ壱番の創業者の出店戦略「800勝2敗」
さて、記事で出店場所の記載ですが、
「ココイチが成長できた理由は、特別な味でも、素晴らしい立地でも、価格の安さでもありません。お客様の要望に真摯に耳を傾け、真心をこめてもてなすことに最もこだわった。突き詰めれば、この一点に集約されます。
都市部の好立地は資金力のある大手に押さえられてしまう。バブル景気などで賃料も跳ね上がりました。我々のような資金力の乏しい会社は、三流立地で何とか工夫するしかなかった。
バブル崩壊後は「価格破壊」の波が外食業界にも押し寄せ、価格競争が激化しましたが、いたずらに値下げすれば、コスト削減のために従業員や取引先にしわ寄せをすることにつながり、サービスの質を維持できません。
ですから値下げも一切しませんでした。仮に価格や立地で無理に勝負しても、それに見合った果実は得にくいものです。」
とあります。
記事は、一見立地は何処でも良いとも取れますが、どうでしょうか。私は違うと思います。立地に対する考え方において、ご自分の「何を」カレーを、「誰に」主たる顧客にの2つがしっかり設定できていたことと、好立地(賃料が高い)と売上が連動しないことも理解されおり、儲けが出る場所(記事の中での三流立地という表現)の選定に注力されたのだと思います。
これは弊社がいう良い立地(お値打ち・お宝立地と呼ぶもの)に当てはまる事例と思ってます。
「誰に」ですが、街道沿いに出店されている店舗は主たる顧客は最寄りに住んでいる人でその顧客が車で来店されやすい場所に出店されています。
また、駐車場の無い店舗は、富士そばさんと似ていますが最寄りで働く人と前を歩く人が混在する場所に出店されています。
記事では三流立地との表現をされていますが、三流の意味は賃料にフォーカスしての表現とみるべきと考えます。
だからこそ、800勝2敗(中途撤退率0.25%)なのです。
凄い事です。これは記載されいませんが、ココ壱番屋の出店基準が明確に存在していると思います。
現在はどうか分かりませんが、宗次氏が会長を退かれるまでは出店基準は見える化されており、組織のDNAになっていたと思います。厳しいことを失礼承知で申し上げますが、●●ステーキさんには欠けていた点と考えてます。
■出店場所を決めるココ壱番屋の大前提
ココ壱番屋さんの成功の秘訣は、お宝・お値打ち立地(賃料が安い)を最大限に生かす術をもって、出店していることです。ここが本当に凄い点と感動しました。
それは記事に「お客様の要望に真摯に耳を傾け、真心をこめておもてなすことに最もこだわった。突き詰めれば、この1点に集約されます」に記載されてます。
社是の「ニコ・キビ・ハキ」の実践です。これの実践がなければお宝・お値打ち立地を生かす条件だと認識されていたことです。この点については立地診断を生業にする自分もその通りと賛同いたします。
弊社の客観的商業店舗立地選定方法もこの点をベースに成り立っています。弊社の立地選定は、「誰に」「何を」への努力を最大化(儲かる)する場所を選定するというものです。
でも、残念ながら2店その実践が通用しない場所があったのも事実です。たった0.25%でほぼゼロの様なものですが、ゼロでは無いのです。こんなにある意味立地に拘っても失敗はあるのです。
ですから、あなたが、主体性を持って事業にあった場所を選定する基準を持たないで場所を決め出店した場合は、短期閉店するリスクは大きくて当然です。運任せです。
■適正な出店スピード
もう一つ「お客様の要望を真摯に耳を傾け、真心をこめておもてなすことに最もこだわった。突き詰めれば、この1点に集約されます」を実践されていると感じるのが出店のスピードです。
このことは前職の鈴木敏文会長も「出店は、量でなく質だ」と常々言われてました。但し、毎年1,000店舗の出店が始まる前までですが。
ココ壱番屋の創業者が現場を引退される800店までの部分では、量でなく質にこだわって出店されたいたことが良く分かります。それは1978年から1995年までの300店の出店です。
18年間で17店/年であり、1995年から2002年までの7年間で500店、71店/年と比較すると4分の1の出店数です。
このことは社是「ニコ・キビ・ハキ」の実践に本気で取り組まれていたことの現れです。この18年間で「ニコ・キビ・ハキ」の実践が真に大切であるとし、組織のDNAとすることに尽力されたことが伺われます。
それを証明するのが1995年の一般FC(フランチャイズ)加盟の打ち切りです。普通の家庭のカレーを売る店、身の丈にあった賃料の場所にしか出店しない店のココ壱番屋がそのブランド力を保つための差別化が社是「ニコ・キビ・ハキ」の実践できる人材の育成だったと思います。
短期の研修では真に身に付かないと判断し、のれん分け制度導入でも9段階に分けてそのレベルを見せる化していることがその証です。
弊社のサービスも、同じ考え方です。あたなの「誰に」「何を」をヒヤリングさせていただきながら、この2つをシャープにクリアにしていきます。
商売は立地7割と言われていますが、主体性ある出店場所の選定は初めての方、経験の少ない方には実践が難し業務です。我々はこの部分をプロとしてあなたをサポートします。
あなたの事業にあったお宝・お値打ち出店場所の選定をあなたと共に行います。あなたはその業務を弊社に投資いただき、その時間をココ壱番屋様の様に事業コンセプト(「誰に」「何を」)に更なる磨きをかけて差別化していただきたいのです。
■「何を」「誰に」「何処で」は三位一体
今回の記事を読んで、事業を成功させる秘訣は事業コンセプトの「何を」「誰に」「何処で」の全てをご自身がクリアにして、それの実践が最大化できる組織を作る事だとあらためて教えていただきました。三つのどれが欠けてもいけないのです。三位一体なのです。
その実践者宗次徳二氏は、この記事で教えて下さったのだと感銘し、お話しさせていただきました。
是非、あなたの事業のコンセプトの「どこで」の選定を、三位一体が成功の鍵と理解した商業店舗立地選定のプロ、我社にサポートさせていただけませんか、先ずはお気軽に無料相談にお申込み下さい。